未知のものに対する態度から、相手を知る
ロシア語の同時通訳者として活躍された 米原万里さんのエッセイ集『旅行者の朝食』に、こんな一文があります。 「初めて目にする食べ物を摂取するかどうかには、その人の無意識の素が出る。」 未知のものに対してどれだけ心が開かれているのか… 好奇心と警戒心のバランス感覚はどのようになっているのか… 米原さんは、ロシア(当時はソ連)の要人の会食に同行するうちに、 彼らの政治的なスタンスと、日本食に対する態度のあいだに、 相関関係があることに気づいたそうです。 みなさんは、未知のものを積極的に試してみたいタイプでしょうか。 それとも、食わず嫌いをするタイプでしょうか。 勧めてきた相手をどのくらい信頼しているか、という要素にも 左右されるかもしれません。 デートで食事をするお店を選ぶ時には、 場所、予算、お店の雰囲気などから考えることが多いかもしれませんが、 相手の人柄を知るためには「食べてみてほしい食事から選ぶ」というのも 一つの案だと思います。
新川和江さんの詩「わたしを束ねないで」
先日、戦後を代表する女流詩人の新川和江さんが亡くなられました。 恥ずかしながら、これまで新川さんのことを知らなかったので、 代表作である「わたしを束ねないで」という詩について調べてみました。 中学の国語の教科書にも掲載されたことがあるそうですが、 たしかに素晴らしい作品だったので、こちらで紹介したいと思います。 わたしを名付けないで娘という名 妻という名重々しい母という名でしつらえた座に坐すわりきりにさせないでください わたしは風りんごの木と泉のありかを知っている風 (一部抜粋) 誰かと人生を共にしたい、 だけど、「妻」「母」という役割だけに自分を押し込めてしまわないか不安… そんな迷いを抱いている女性に、 「どんな人生の選択をしても、心は自由なのだ」ということ 静かに語りかけてくれている作品です。